21世紀の富士北麓
新たな科学的解明が展開されています
富士山噴火への対策の変遷
富士北麓地域の代名詞ともいえる富士山と富士五湖は、有史以前から様々な歴史、地質学的解明が継続中で、従来の伝説、俗説などについては最先端科学を駆使した富士山研究で新たな証明がされています。
例えば富士山。今は高齢となられた方々が義務教育時代に勉強した地理の教科書では、火山に関して「活火山」「休火山」「死火山」の3つの分類がされ、富士山は「休火山」として記載されていたことを記憶しているはずです。ところが地質学・火山研究の進展の結果、「富士山は“立派な”活火山」ということが証明され、1974年に地震・火山噴火予知に関する研究に当たっている組織で構成された「火山噴火予知連絡会」が発足。その後の研究・活動を通して、全国111の活火山が認定され、「富士山といえども噴火の可能性はある」として、防災・避難マップの完備など、国を軸にした関係都県の対策が急がれています。2014年(平成26年)には「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」として50の火山を認定、24時間常時観測・監視の体制が維持されています。富士山もその一つに組み込まれています。
1707年11月の「宝永の噴火」以来、なりをひそめている富士山ですが、いつ噴火しても不思議ではないという「活火山」という訳です。富士山噴火への防災対策は、私も末席に置かせて頂いている県議会でも本県の本県防災対策優先課題のひとつに数えられ、議会開催の都度、県の対策に地元の代表として意見を述べさせて頂いております。
「幻の湖・赤池」の伝説解明
本年は、文字通り最直近の伝説変更として、「幻の湖」「富士五湖の6番目の湖・赤池」の科学的な判断が発表され大きな話題になっています。
「赤池」は富士五湖のひとつ精進湖の近くに出現する池です。国道139号の精進湖三叉路から河口湖方向へ500㍍ほどの右側の低地に現れる池です。この40年間に7回ほど出現した池は、精進湖の水位が大雨で上昇すると現れるため、「地底で精進湖と繋がっている」との説が有力で富士北麓の6番目の湖とというのがもっぱらの“事実”として語られていました。
そうした定説の中で、昨年(2020年)の大雨で9年ぶりに赤池が姿を現しました。その折、県富士山科学研究所が採取した水質検査の結果、赤池の水は精進湖の水とは明らかに違うことが判明、「同湖と地下で繋がっているという従来の定説は誤りであることが証明できた」と発表されました。
この調査は、本年9月6日付けで「お知らせ・研究成果」として写真付きで以下のように報告されています。
◇
「富士山北麓の幻の湖『赤池』、主に降雨により形成
~精進湖の水と成分一致せず、定説を覆す~
「当研究所、山梨大学大学院総合研究部、立正大学地球環境学部と連携し、2020年7月に富士山北麓で9年ぶりに出現した幻の湖「赤池」の水質や安定同位体比の分析を行いました。その結果、赤池の発生のしくみについて、精進湖と地下水を通じて繋がっているとする従来の説を覆し、主に直近に生じた降雨により形成されていたことを発見しました。~以下省略」
(研究担当者:富士山火山防災センター 研究員・山本真也)
◇
長年にわたって、親しまれていた「富士六湖説」の消滅は少しばかり寂しいことですが、今後も富士山麓の科学的な研究によって新たな事実が解明されるのではないでしょうか。
「幻の魚・クニマス」の交流を継続
本年は、2010年(平成22年)に西湖で発見された「幻の魚・クニマス」についても、新たなニュースが届きました。
原生地の秋田県仙北市の田沢湖で絶滅が宣言されたクニマスは、西湖での発見により田沢湖畔に「クニマス資料館」が建設され、一昨年には西湖で発見されたクニマス10匹が送られ展示されていました。そのクニマスの何匹かが死んだという知らせを受けた西湖から、新たなクニマスが再送付されたというものです。
絶滅種とされたクニマスが西湖で発見されてから既に10年余が経過しましたが、本県では、西湖湖畔に「西湖ネイチャーセンター」を開設、忍野村の県水産技術センターでの飼育研究が継続されています。本県でのクニマス保護は順調に進められていますが、原生地の田沢湖では本県以上に話題の魚種です。
河川事業などによる水質変化で伝統魚が絶滅した田沢湖当地では、1995年からは「クニマス探しキャンペーン」という企画が展開され、発見者には100万円の懸賞金(後に500万円にアップ)が、再発見された本県以上に熱烈な事業が展開されていました。今回の生魚の発送は改めて、西湖・田沢湖の結びつきが強化されたはずです。 富士山噴火、幻の湖の解明、クニマス保護の新しい歴史が始まった21世紀を実感しています。
